所長 末瀬 一彦
京都インプラント研究所は1981年11月に現在の名誉所長 山上哲贒先生を中心に設立され、2021年には40周年を迎えます。インプラント研究所は全国にも多数存在しますが、これまでの先達のお力添えによって研修事業や発表業績などにおいてはトップクラスの伝統ある研究所であることを自負しています。
2020年度からはこれまでの「KIA」組織を発展的に統合し、「京都インプラント研究所」として新たにスタートすることになります。会員種別として、学会専門医を取得されておられる「アクティブメンバー」、これから専門医取得を目指される「アソシエートメンバー」、そして臨床研鑽を目的とされる「レギュラーメンバー」の3つに区分し、それぞれの目的を明確にしています。本研究所の大きな事業は、〔公社〕日本口腔インプラント学会 専門医取得のための、いわゆる「100時間研修コース」であり、近未来に実施されるであろう「専門医制度開示」に向けて、研修内容をさらに高めなければなりません。研究所としては、さらに重要なミッションとして「インプラント治療の精度を高めるための研修事業」であります。近年、デジタルデンティストリーの急速な進展によって、インプラント治療は検査、診断から埋入外科手術、上部構造の製作までフルデジタルソリューションとして実施できるようになってきました。治療術式もシステム化され、安全で確実なポジションに植立できるようになり、個々の症例の咬合状態に応じて対応できることが可能になってきました。しかし、最も重要なことはすべての異なった患者、症例に対する診断能力であり、上部構造装着後の口腔内における機能的評価、口腔環境のケアであります。とりわけ、今後、ますます増加する高齢者におけるインプラントの管理、存在価値が議論の対象となるでしょう・・・
本研究所においては「臨床研修会・セミナー」の開催、そして全会員を対象とした「臨床研究の実施」を事業のなかに積極的に組み込む予定です。
本研究所の理念は「患者様の“幸せ”を第一に考え、スタッフの物心両面の幸福を追求する明るい診療所を目指す」ことですが、そのためには精度の高いインプラント治療を実施するための自らの研鑽が前提であります。
会員の皆さんには、本研究所の設備、人材を大いに活用していただき、会員相互の親睦を図り、共に研鑽していきたいと思います。
私は、「一人では何もできない。しかし、誰かが始めなければ何もできない!」をモットーに所長の任を務めさせていただきたい所存です。
御協力、御指導のほどよろしくお願い申し上げます。(2020.新春)